「このまま公務員でいいのか…」
そう思いながらも、
何も変えられずに時間だけが過ぎていく。
気づけば30代。
責任ある仕事も任されるようになった一方で、
ふとした瞬間に違和感を覚えるようになりました。
・このまま定年まで働くキャリアで本当にいいのか
・民間企業ではどんな働き方ができるのか
・自分の市場価値はどれくらいあるのか
こうした疑問が、頭から離れなくなっていきました。
この記事では、そんな状態から転職を決断し、
実際に転職活動をして、今に至るまでの全記録を
「失敗も含めて」すべて公開します。
これから転職を考えている方はもちろん、
「続けるかどうか迷っている方」にとっても、
判断材料になるはずです。
なぜ転職を考えたのか
別記事でも書きましたが、やはり「専門性の欠如」という点が最大の理由です。
特に、約3年スパンで対象となる人事異動がどうにも解せない部分が多く、異動を経験するたびにその気持ちは大きくなっていきました。
まとめると以下です。
【異動の現実】積み上げた業務知識がリセットされる
異動後の職場で引き続き活かせる能力といえば、正直なところ「行政職としての基本的な事務処理能力」くらいです。
もちろん数年後、同じ分野へ出戻る可能性もありますが、そのころには今より相当状況が変化しています。
結局は一からキャッチアップする必要が出てきますし、一方で弊害も起きやすく、「昔いたから大体分かってるよ」といった仕事の進め方になってしまいがちで、昔の感覚や情報で今の業務を判断・執行しようとしてしまい、判断ミスやトラブルを招くことにつながります。
やはり、中途半端にいろんな分野をかじるというのは、専門性が身に付きにくくメリットを感じません。
【異動の現実】積み上げた信頼関係がリセットされる
3月になると、
「えー!観光課の〇〇さん異動なんですか?次はどこに?・・・建設関係の部署ですか。。また大分関係ないところに異動されるんですね」といった会話をそこかしこで耳にします。
担当者異動は関係企業や団体にとって大きな関心事です。
というのは、関係企業や団体の関係者は行政担当者と細かい点まで打ち合わせをし、来年度の計画や段取りを進めています。「この担当者ならここまで期待できるな」といった見込みをもとに会社の事業計画を考えたりしています。なので、担当者が簡単に変わってしまうとダメージが大きいのです。もちろん、後任に引き継がれはしますが、「県庁に10数年います」という職員が引き継いでも、初めて来た部署であれば、間違いなく素人です。関係者からみれば「振り出しに戻った」と思われても不思議ではありません。
一方で、行政担当者本人のモチベーションも下がります。「今年度はここまで事業を進められたから、いよいよ来年度は新しいこのプロジェクトをスタートできるぞ」と思っても、異動に遭ってしまえば自身はもう関わることができません。また、せっかく信頼関係を築けた関係者の方々ともお別れです。自分を信頼してくれてここまで進めてこれたのにと思っていても、後任に託すのみです。本人と関係者の心残りは計り知れません。
【30代ぎりぎり転職】転職決断の決め手とは
私生活でみれば、私の場合、妻と小学生の子ども2人がおり、転職するにも自分一人の意志だけでは決断できません。
当然家族の理解を得る必要があります。
これについては、次のpartで詳しく触れますが、
一番の決め手となったのは、先ほどからお伝えしているとおり「専門性の欠如」です。
具体的なエピソードをお伝えします。
私がいた自治体では「読み原作成」という仕事があります。
「読み原」とは何かというと、部長・課長等の幹部が発言する原稿のことです。
例えば、多くの団体や関係者が集まる会議の場で主催者あいさつとして幹部が挨拶をします。
その際に「冒頭の関係者に向けた感謝の言葉」、「時事ネタと関連した県の施策や今後の展開」、「引き続きの御支援のお願い」といった幹部の話す原稿はすべて一言一句担当職員が案を作成します。
つまり、何が言いたいかというと、「幹部は自分の言葉では一切話しません」。
原稿を見ながら、そのとおり話すのみです。
もちろん、事前に起案(稟議)またはレク(幹部向けレクチャー)を行って、この原稿の中身で問題がないか幹部本人含め内部で調整をしておくわけですが、基本的には担当者の案で内容が決まってしまいます。
「組織で仕事をしているのだから、幹部が話す内容は組織で考え、調整しておくべき」という意見が出るでしょうが、もちろんそれはもっともな理由として理解しています。
ただそうなのであれば、
結局、幹部という仕事は「誰でもできる仕事」になるのではないでしょうか。
私は、部長自ら自身の専門性を駆使した挨拶をしている場面を、いまだかつて見たことがありません。
皆、事前に準備していた紙の読み原稿を持参し、漏れがないように全神経を集中して、そのとおり読むことだけに努めています。
また、「読み原」とは別に「想定問答」(Q&A)というものも作成します。
これは何かというと、もし会議にて議論の場面があった場合に、関係者より質問が出る場合があります。
それに対して何と答えるかという応答について、事前に担当者が想定し、そのQ&Aを作るのです。
出るかどうかもわからない質問に対して、担当者は想定し、時には20を超える問答を作る場合があります。この会議のためだけに作成します。
※ここだけ見ても、辟易するわけですが。。
ここでも、「幹部自身の頭で考え、質問に答える」という発想はないわけです。
これについても
「いや、組織で仕事をしているんだから、幹部が答える内容は組織でオーソライズしたものでなければだめだ」
「幹部は組織全体を管理しているのだから、細かい質問について把握しているわけがない。だからQ&Aは必要だ」
という意見が出てきそうですが、もちろんそのことについても理解しています。
でも、「いちいち紙でみて答える」、「担当者を呼んできて答えさせる」、ひどい場合には「この場では分かりかねますので、いただいた質問については追ってご連絡をさせていただきます」といった回答になるわけです。
こんなリアクションしかできない幹部に対して、関係団体、民間の関係者の方々はどう思っているのでしょうか?
「担当部署のことについてすぐに答えられないなんて、この人は本当に自分の部署の仕事についてわかっているのだろうか?」と考えるのが自然ではないでしょうか?
一方で、関係団体、民間の関係者の方々の挨拶の様子をみると、誰も紙なんて見てません。皆、自分の言葉で、参加者の目を見て話しています。淀みなくスラスラ話します。質問をすれば、すぐにいくらでも答えが返ってきます。
要は、自分の仕事に対しての専門性のレベルが公務員とは遥かに違うのです。
こんな仕事だからこそ、いわゆる「素人部長」も誕生します。
初めて経験する分野の部署なのに、部長職で異動して着任するパターンです。
例えば、30数年間ずっと、「企画」、「産業経済」、「農林」、「教育」といった分野しか経験したことがなかったにもかかわらず、「観光」の部長になったりするケースです。
※大体このパターンは、庁内政治に長けている人物や、女性管理職登用の推進といった大人の事情があることもあります。
当然、観光の分野のことは何もわかっていません。
それでも、その自治体の観光の責任を一手に背負う部長なわけです。重要な職責を担うポジションです。
なので、年度当初からガンガン部長レクを行ってインプットをしていくわけですが、それでも何十年とその領域にかかわり続けた地元民間企業の社長、団体・協議会の会長などといったステークホルダーと対等なレベル感で会話をすることはできません。大体、行政側が押されます。笑
自分の将来の姿もこんな感じになるのかなと思ってしまうと、情けない気持ちになってしまいます。
だからこそ、私の場合、専門性の高さを持った仕事をしたいと強く感じるようになりました。
※この記事は全3回のシリーズです。出来上がり次第、順次アップしていきます。
▶ part2:実際に転職活動を始めた話
▶ part3:転職して分かったリアル
